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療育の事例②感覚統合へのアプローチ

この記事は児童指導員の方に書いていただきました。

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1.はじめに

 私は現在、療育施設にて児童指導員として勤務しております。

 発達障害を勉強していると必ず目にする「感覚統合」。でも「感覚統合」って結局なんなのかよくわ分からないという方もおられるかと思います。

 今回は事例を通して、児童指導員が感覚統合の問題があるお子さんに対してどのようなアプローチをしているのかお話していきます。なお、ご紹介する事例は個人が特定されないよう複数のお子さんの事例を合わせて構成した架空の事例です。

2.そもそも「感覚統合」って何?

 私たちの暮らしには沢山の刺激があります。いま、私がこの記事を書いている間にも洗濯物がちらちら揺れて部屋の中に光と影が揺れているのが視界の隅にあったり、キーボードに触れる指先の心地よい感覚を感じていたり、テンポ良く打ち込まれるキーボードの音が聞こえたりなど、色々な刺激を受けています。

 それでも私が記事を書くことに集中できているのは、人には必要のない感覚を抑制したり、必要な感覚のみを敏感に感じ取る機能があるからです。そうすることで脳は余計なことを考えず、目的に合った行動を取るように身体に指示することが出来ます。

 このように必要な感覚だけを選び出し、それをもとに思い通りに身体の操作が出来る働きを「感覚統合」と言います。

3.自分の存在を感じたい4歳A君の事例

 A君は自閉症スペクトラムの診断を受けた4歳の男の子です。発語の少なさなど気になる点は多かったのですが特に親御様が気にしていたのは、くるくる回り続けたり、つまさき立ちをして歩いたり、大きな奇声をあげたりする行動の面でした。

 行動の奇異さが周りに目立ってしまい、外ではときおりヒソヒソと影口のようなものも聞くことがあるとのことで、とても心を痛めておられました。

 親御様からのA君の普段の様子の聞き取りや、実際のA君の行動を観察してみますと、A君は回転を感じる前庭覚、床に自分が触れていることを感じる触覚、自分の声を聞く聴覚などの感覚機能が弱く、適切に感覚を受けとることが出来ていないようでした。適切に感覚を受け取れないと、人は自分の身体の存在を確認しづらくなってしまいます。

 A君は自分の身体がちゃんとあることを確認するため、くるくる回って自分の回転を感じたり、つまさき立ちで身体の重さを感じたり、大きな声で自分の声を確認していたのです。

 「感覚統合」では、求めている感覚を十分に満たしてあげることを大切にしています。赤ちゃんのおしゃぶりを想像してもらえればわ分かりやすいかと思いますが、赤ちゃんは一定期間おしゃぶりを吸い続けると、遅かれ早かれ、おしゃぶりを卒業できます。それは口の感覚が満たされたからなのです。感覚を求めることを無理にやめさせるのではなく、しっかり満たしてあげることが発達につながるのです。

 私は作業療法士の先生とA君について話し合いを行いました。作業療法士さんは名前だけ見ると手先の運動面の専門家のようですが、本当は運動面の根底にある脳の働きから支援する専門家なんですよ。

 A君には発語の練習を頑張った後に、褒め言葉とともに抱っこしてくるくる回ったり、ヤッキーボールや100均のとげとげボールで触覚刺激を与えたりしました。A君は大喜びで発語の練習も頑張り、感覚も満たされ、少しずつ行動の奇異さは落ち着いていきました。

4.感覚統合の意味

 「感覚」は大切なものです。だけど、それが上手に受け取れないために困っているお子さんに対し、「問題行動だからやめさせないと」と考える人もまだまだいます。

 もし、気になることがあれば医師や作業療法士にしっかり見てもらい、適切な支援を受けられる準備を整えることをおすすめします。この記事がみなさまのお役に立てば嬉しいです。

[参考記事]
「療育の事例①気持ち(感情)をコントロールする練習」

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