この記事は30代の女性に書いていただきました。
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どこの家もこんなものなんだ
息子は幼児期からマイペースな子でした。散歩をすれば急に立ち止まる。会話中も突然全く関係ないことを話し出す。夢中になると、こちらが大声を出すまで気づかない。おもちゃ箱やタンスの中はぐちゃぐちゃ。好きなことに関しては延々と話が止まらない…などなど。
「ちょっと変わってるな、時々ママしんどいよ…」とも思いつつ、幼児なんて、まして男の子なんてこんなものなのかも? とあまり深く考えることはありませんでした。同じ保育園のママたちと話す愚痴の内容もほぼ同じで、やっぱりどこも同じなんだと考えていました。友人関係は良好で、園の活動も問題なく行えていたため、「もしかして発達障害?」と疑うことは何度かありましたが、受診までには至りませんでした。
きっかけは小学校入学
そんな息子に大きな転機がやってきます。それは小学校入学です。私の住む地区では集団登校を行っています。ある日、担任の先生から電話が来ました。その内容とは「息子くんが集団登校の途中で何度も立ち止まってしまうんです。おかげでグループのメンバーがみんな遅刻してしまう。お母さんもしばらく登校時に付き添ってくれないか。」というものでした。
私はフルタイムの仕事をしています。息子が家を出たら私もすぐに出勤しなければなりません。正直言って困りました。そこで、まずは息子に話を聞くことから始めてみることにしました。
話を聞く前に私が考えていた、集団登校時に立ち止まってしまう原因として考えられたのは、以下の3つです。
1:体力的な問題で、途中で疲れてしまう
2:何か気になるものがあって、それに夢中になってしまう
3:学校に行きたくない
休日に時間をとって息子に話を聞くことにしました。とりあえず、オープンクエスチョン方式で自由に答えてもらおうと「登校の途中で何回も立ち止まっちゃうのはなんでかな?」と質問しました。案の定、息子の答えは「わからない」。そこで、考えられた原因を一つずつ潰していった結果、息子の原因は「2:何か気になるものがあって、それに夢中になってしまう」ことであると判明しました。確かに息子は「今日は道端に大きなクモがいた。」とか、「用水路にペットボトルが捨ててあって、まだ中身が入っていた。」とか、通学路の様子を詳細に話してくれます。この時点で私の中の発達障害ではないかという疑いゲージがやや上昇してきました。
しかし問題はこれだけでは終わりません。我が家では小学校入学にあわせて子供部屋を与えることにしました。机やタンス、ベッドに整理棚。これらを配置し、基本的には管理は息子に任せます。ところが、1週間もしないうちに部屋の中はカオスと化していました。タンスからはみ出た衣類。おまけにタンスの周囲にも衣類が散らばってもいます。おもちゃは箱からあふれ出し、床に散乱。机も同様です。週末に大掃除を決行するも、効果は持続しません。
こんな状態では、次に何が起こるか想像できませんか?そう、忘れ物・なくし物が異常に多いのです。
・新しい鉛筆がどこにあるのか分からないから鉛筆が用意できない
・洗った体操服をなぜか袋に入れ忘れる
・いつの間にか消しゴムが無くなっている
・宿題のために持ち帰ったノートが消えている
・上履きを1週間持っていくのを忘れ続ける
・水筒を準備したにもかかわらず、持っていくのを忘れる
・着ていった上着を学校に忘れてくる
・水筒を学校に忘れてくる
まだまだありますが、きりが無くなるのでこの辺にしておきます。
当時の私は疑惑を持ちながらも、まだADHDに対し確信には至らない状態でした。大きな転機となったのはゴールデンウィークです。
子供部屋の大改造中に泣き出した息子
大掃除を兼ねて、ゴールデンウィーク中に子供部屋の大改造を決行した時です。部屋の家具の配置を考えていると、息子から涙がこぼれ落ちてきたではありませんか。理由を聞くと出てきた言葉が、「お母さん、どうやって片づけたらいいのか分からない」だったのです。
それを聞いたときの衝撃は今でも忘れることができません。彼は決して面倒くさがったり、怠けたり、だらしなかったわけではありませんでした。ただ、なにをどうやってどこに片づければいいのかが分からなかっただけだったのです。
おもちゃというカテゴリには一体なにが含まれるのか?ベストはどこに仕舞えばいいのか、ぬりえは本なのか、それともおもちゃなのか、はたまたクレヨンなどと一緒にしまうのか?息子の中では、モノの分類というのはとても難解な事のようでした。発達障害への疑いが確信に変わったのがまさにこの瞬間でした。
それから私は本格的にADHDについて調べ始めました。そして調べれば調べるほど「この子はそうだ」という確信は強くなっていきます。出来るだけ早期に治療を始める必要があると感じた私は、発達障害を診てもらえる医師を探すことにします。そしてまずは息子の学校にいるスクールカウンセラーに相談することから始めてみることにしたのです。
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