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発達障害による二次障害(うつ病)を夫の助けで抜け出す

 

この記事は発達障害の40歳代の女性に書いていただきました。

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大丈夫、俺が一緒にいるからなんとかなる

 私と夫が結婚をしたのは、私がうつ病のどん底にいるときでした。病気を発症してかなり時間が経ち、会社から辞めるように迫られていた時期です。この当時は、私は自分が発達障害を持っていることを知りませんでした。まだ「発達障害」という言葉が一般的に聞かれていなかった頃です。ただ、後に今でも患い続けているこのうつ病は、発達障害による二次障害が原因だと分かりました。

 お子さんの発達障害に気づかない、または気づいても適切な対処をしなかった場合、どうなるのでしょうか。発達障害を放置し、本人に無理を強いる生活が続くと、かなりの高い確率で新たな障害を引き起こしてしまいます。これを二次障害と言います。

〇まずは勉強やそのほかの社会生活が上手くいかないことにより自信を無くしていきます。

〇学習意欲の低下や欠如、学習そのものの遅れが心配になってきます。

〇お友達との関係を築くのが困難なお子さんだと対人恐怖症や不安障害を起こすこともあります。

以上のような状態が続くと、気分が落ち込みがちになり、うつのような状態になってしまいます。


 私はその後、発達障害のADHDとの診断を受けていますが、当時はどう考えても向いていない事務職をしていました。特に部内や課内の庶務事務を行うことが多かったですが、この仕事は内部調整や来客対応、電話応対にPC作業と、細かい仕事があちらこちらから飛んでくる仕事でした。どう考えても発達障害の私には向いていない仕事です。どうにか業務をこなしていましたが、実際は綱渡りのような毎日で疲れ果てていたのです。

 ですので、彼(今の夫)とお付き合いをするようになった頃は、毎日毎日「辛い」「しんどい」と言っていたことを今でも覚えています。今思うと、よく夫は私と付き合ってくれていたなと思います。普通の男性だったら、面倒だからと言って音信不通になっていてもおかしくはありません。彼(今の夫)は「無理してそんな仕事をしていても人生を無駄にするだけ。辞めちゃいなよ」と言ってくれました。

「それは、私が収入源を失うということだけど」
と聞き返すと、
彼(今の夫)は
「大丈夫、俺が一緒にいるからなんとかなる」
と、結婚を承諾してくれたのです。

認知行動療法

 仕事を辞め、夫の扶養のもと療養生活をするようになった私は、それでも何かしていないと落ち着かないと、アルバイトをするようになりました。仕事をしていると、どうしても頭の整理がつかない私はストレスを溜め、二次障害によるうつ病を悪化させてしまうのです。

「こんなことを言われてしまった。私には能力がないのだ…」
「こんなことがあった。もうダメだ…」
と、うつ病にありがちな「白黒思考(オール・オア・ナッシング。100%でなければ0%という考え方)」に陥ると、夫は、
「それは本当のことなのか?客観的に見てどうなのか?」
「そのことで全てダメになる理由は?本当に全てがダメなのか?」
と問いかけ直してくれました。

 特に勉強をしたというわけでもないのに、夫は「認知行動療法」の考え方で私に接してくれたのです。認知行動療法は簡単に言うと思考の偏りをプラスの方向に持って行くための心理療法です。思えば、夫は理屈で考える人で、なんでもそうやって分析する癖があります。私は、思いもよらないところから、素晴らしい療法を受けることになったのです。そのため、「私は何もできない、ダメな人だ、生きていても仕方がない」という二次障害の弊害からかなり抜け出せました。

 もちろん体に染みついた考え方はなかなか治りませんが、今では少なくても頭では「何も不得意なことで勝負する必要はない。得意なことを生かして、不得意なことは合理的に手を抜いてそこそこなんとかしていけばいい」と考えるようになっています。治りづらくなっているうつ病も、だいぶ軽くなりました。

凸凹コンビとして

 夫にも不得意なところがあります。頭で考えることは得意ですが、行動に移すとなると腰が重く「口だけ達者」になりがちです。私は「頭で考える前に行動してしまって失敗する」タイプの性格なので、夫にとって私は「行動力がある」人として時々役に立つようです。

「◯◯したいの?申し込んじゃえばいいじゃん」
「私は××さんに会ってきたよ。会ったからってどうなるわけじゃないけど、でも会って話ができてよかったよ」
といったことが、夫にはなかなかできないことです。

 また、ものを作る、カタチにする、ということは私の方が圧倒的に得意で、あれこれ悩んでいないで作っちゃえばいい!と言っている私は、夫から「言い出したものはそこそこカタチになっちゃうからすごいよなあ」と言われています。

 私達は、趣味嗜好から考え方まで、全く似ていません。でも、お互いのやっていることを否定しない、面白そうだったら興味を持ってみるし、面白くなさそうだったら勝手にやっていてもらう、という暗黙の了解があり、そのためにお互いを適度に尊重しながら、適度に放置しながらうまくやれています。

これからの二人

 夫は結婚前からひどい「汚部屋の住人」でした。ADHDの私もかなりひどい状態ですが、その私が眉をひそめるくらいに汚い部屋に住んでいました。一人暮らしのワンルームでしたが、真っ直ぐに寝るスペースもありませんでした。今でも夫はゴチャゴチャと物のあふれる部屋に住んでいます。しかし、私は自分が「片付けられない」特性を持っているけど、怠けているわけでもサボっているわけでもないのは分かっているため、夫を理解することが出来ています。

 今後は、そういう二人の苦手な部分を例えばヘルパーであるとか片付けのアドバイザーであるとか、そういう人達に助けを求めることも必要なのかな、と思います。近頃では発達障害に理解のある片付けアドバイザーもたくさんいます。夫は生育歴を見ても「発達障害がある」とは思えない人ですが、どんな人にでも偏りは存在し、得意不得意があります。どこまでを努力でこなし、どこから執着を手放して誰かに頼るか。そして、どんなことが自分達の得意で、どんなことを大事にすると幸せになれるか。そういうことを一つづつ考えて積み上げて、一緒に年を取っていきたいと思います。

[参考記事]
「アスペルガー症候群の夫と結婚して分かった発達障害の特徴」

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