この記事は発達障害の息子さんを育ている30代の女性に書いていただきました。
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幼児時代の困りごと
発達障害の2つのタイプ「アスペルガー症候群」と「ADHD」の診断を受けている現在小学6年生の息子は、生まれた時から育てにくい子どもでした。とても神経質で少しの事でも不機嫌になり泣き叫ぶ…。夜も同じ調子でぐっすり眠ってくれない。昼間も常に後追いをし、ついてくるような状態。他の子と同じようにおもちゃで遊んだりもできませんでした(今思うと定型発達の子向けのおもちゃでは遊び方が分からなかったのだと思います)。常につきっきりでないといけなかったので、気の休まる暇がありませんでした。
こういう状態ですが、喋り始めるのも歩き始めるのもとても早く、1歳にならないうちにはどちらも出来るようになっていました。母子手帳に書いてあるようなチェックリストは全てクリアしていたので、健診で指摘されることもなく、とても育てにくいけれど子育てとはこういうものだと疑いもせず、自分のやり方が何かまずいのかなと常に重たい気持ちで育児していたように思います。
幼稚園での初めての集団生活での困りごと
3歳になり、幼稚園に入園することになりました。入園式では手に負えないほど泣き叫び、そこからの園生活も順調なものではありませんでした。お友だちとの関りも上手くいかず、おもちゃの貸し借りもできない。参観日では先生の指示に従えず一人だけ椅子の下に潜って出てこない、返事をしない、流れに沿えない、みんなと同じ活動を嫌がり登園拒否をするなど…。1年1年本人なりの成長は見られたものの、やはり集団の中では浮いてしまい、悩んだ私は泣きながら園長先生に相談しに行ったこともありました。
ですが園側に知識がなかったのか、もしくは発達障害だと分かっていても職員を増やすことも出来ず対処法がなかったのか分かりませんが、園長先生や担任の先生からのアドバイスは「子育てってこういうものよ。お母さんがあまり考えすぎないでおおらかに見守ってあげて」というものでした。この言葉はますます自分を追い詰めました。こんなに大変だけれどやはり私の考え方ややり方が間違っているのかな、と…。
小学校入学時の困りごと
そんな不安を持ちながらも、なんとか幼稚園を卒園し、小学校に入学することになりました。入学式の日。式が終わり、自分の教室に移動しました。初めて見る担任の先生、教室、お友だち。何もかもが初めてで、子どもたちはみんな少し緊張の様子。
先生が前に立ってお話をされます。「みんな、今日から1年生だね。1年生になったら大きな声でお返事するんだよ…」等々。子どもたちはみんな「はーい!」といいお返事をしています。そんな中で息子の「なんで~?なんで1年生になったら大きな声で返事せないかんの~?やだ!」。
「立って礼をしてみましょうか」にも一人だけ「えーそんなんしたくないしー」。「先生がお話してる時は静かに聞きましょう」にも、一人だけ無視して話しまくっている…。
とてもとても恥ずかしかったのと共に、やはり息子は何か問題を抱えていると確信しました。分かっているけど感情が抑えきれず、家に帰り、ものすごく叱ってしまいました。私が泣きながら叱っていても、どこか通じている感じがありません。こちらの感情は伝わらない…。とても情けなく、悲しい気持ちの小学校スタートでした。
診断が下りるまで
その入学式の出来事がきっかけで、私はインターネットで情報を集めまくりました。そして「発達障害」というものを初めて知ったのです。そこから自治体の相談場所を広報などで探し、色々なところを当たりました。やっと求めているような解決策を一緒に考えてくれそうな場所に出会い、そこで丁寧に息子の様子を見ていただきました。
そこからも色々な相談場所を転々とし、最終的には発達検査を受けられる場所を教えていただき、その検査結果を持って病院へ行き、(予約から半年待ちでした)そこで初めて診断が下りました。発達障害のアスペルガー症候群とADHDの合併という診断。まさか自分の子どもが…と思う気持ちよりも、「自分の育て方が悪かったわけじゃなかった…」という長年の自責の念から解放され、涙が止まりませんでした。
その後の生活
診断が下りて、対処の方向性が見えてきたものの、実際に出来る対処法はまだ数少なく苦労する日々が続いています。小学校も知的な遅れがない子へのケアは整っておらず、今も普通級で過ごしています。思春期に入り、幼い頃とはまた別の難しさも出てきています。現在、キャンセル待ちで児童デイサービスに申し込んでいる所です。こういう子たちを育てるには、理解のある環境で、理解のある人たちに囲まれて助けてもらう事が大事になってくるように思います。むしろそれが得られないと育てられないくらい大変な事です。
テレビやメディアで発達障害について取り上げられる事も多くなり、少しずつ住みやすい社会になってきているように感じます。息子が大人になる頃には、それぞれが個性として認め合い、助け合える世の中になっていると信じています。
[参考記事]
「娘の発達障害に気付くまでの育児は泣きたくなるほど辛い」
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