なんとなく育てにくさを感じ、保健センターなどで発達相談を受けたお子さんの多くは、発達障害の診断の有無にかかわらず、「発達検査」と呼ばれる検査を受けているのではないでしょうか。
発達検査の結果ではつい、発達の度合いが何歳レベルか、なんてことが気になりますが、この発達検査の結果は読み方を変えればお子さんの得意・不得意が何で、どんなことに困っているのかを知るとても貴重なデータとなります。
私も最初、半年に一度ペースで次男と末娘の発達検査をしていましたが、結果を見るたび「発達障害ではなかった。いややっぱりそうかも」と一喜一憂していました。ところが、次男の感覚統合療法を担当してくれていた作業療法士さんより「発達検査は得意なことと苦手なことを知るための検査」とお聞きし、見方が変わりました。
検査に同席している時も子どもの「できた、できない」にいちいち喜んだり落ち込んだりするのではなく、「この子がこの検査を上手くこなせないのはどこに理由があるのか」を探りつつ、様子を見るようになりました。
今回は、検査結果から得意不得意を知るコツについて書きたいと思います。我が家の子供たちが定期的に受けている発達検査は新版K式発達検査です。WISCというメジャーな検査があるのですが、我が家では受けたことがないので今回はK式のほうで書かせていただきます。
新版K式発達検査は
「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価します。
3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に、検査の重点を置いています。
出典:国立特別支援教育総合研究所
検査結果は、子どもたちが受けた保健センターでは特別決まった書式はなく、検査をしてくれた心理士さんによって違いましたが、大体3領域についての発達年齢(DA)と発達指数(DQ)、そして検査時の子供の様子についてが書かれていました。私はつい、結果を読む時DAやDQについ目が行きがちでした。でも、本当に見ないといけないのは先生の所見です。
次男が受けた小学校入学前の検査では次のようなことが指摘されていました。
先生の所見でわかった次男の得意・不得意
〇認知面では見本を見て形を構成する能力が高いこと
→確かに、パズル検査では実年齢以上の能力を発揮していました。難しい問題になるとものすごい集中力。言語関係の検査の時はすぐ「もうあきた~」なんて言っていたのですが・・・。
〇言語面では聞いたことを順序立てて記憶したり、思考することが苦手な様子
→質問の意味は分かっていても答え方が分からない、といったこともありました。
〇聴覚からの情報処理が苦手
→視覚優位で、聴覚からの情報処理が苦手だということ。次男は耳で聞いたことよりも、紙に書いて説明した方が理解が早いです。
指摘された内容については思い当たるフシが多く、今後の指針についてとても参考になると感じました。この検査の後、次男に「体育やスポーツクラブでの練習では、なるべく後ろのほうに並んで、前の子の真似をするように」とアドバイスをしたことを覚えています。
発達検査はこのように、保護者が何となく感じていた子供の得意不得意を客観的に(検査員により多少の差はみられますが)示してくれるので、ぜひ活用すべきです。
診断名から得意不得意を推察するだけでは危険
子どもの得意・不得意を見極める際、気を付けなくてはならないことがあります。それは、「診断名がこれだから、こういうことが苦手なはず」と決めつけないことです。
例えば診断名が「自閉症スペクトラム」であっても「ADHD」の特徴を持っていることもあります。発達障害の診断名の境目は虹のようなものだと言う医師もいるぐらい、診断そのものも難しいし、その診断名が一生ついていくとは限らないからです。
次男を見て感じたことがあります。一般的に発達障害の子は運動神経がいまいちな子が多いと言われています。それは、姿勢の保持が難しかったり、固有感覚がうまく育っていないなどの理由でボディイメージがとらえにくいなどの理由が考えられます。ところが次男は、なぜか運動神経がいいほうなのです。平均台の上で走ること、跳び箱が得意です。ドッジボールでは「次男にボールを当てるのは至難の業」と言われているらしいです。
このように、一般的な特性がお子さんにもきっちり当てはまるとは限らないので、得意不得意を見極める場合、普段から様子をよく見ることは当然のこと、発達検査の結果も活用することが有効です。どっちにしても定期的に受ける検査です。しっかり活用しましょう。
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