30代の女性に書いていただきました。
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この記事では息子が発達障害の診断を受けまでの経緯について書いていきます。
息子が発達障害(自閉症スペクトラム障害)と診断を受ける前の行動や性質は理解され辛いものでした。言葉が遅れていましたが、3歳を過ぎた頃からこれまでに溜めこんでいた言葉を全て吐き出すかの如くどんどんと言葉が増えていきました。しかし言葉の発達と共に落ち着くと言われていた癇癪(かんしゃく)は落ち着くどころか酷くなり、自傷行為も毎日繰り返していました。
この頃は人に対するこだわりも強く、私に対しては常に笑顔でいるように強要し、それが通らないと癇癪(かんしゃく)。部屋にいる時の目線や顔の角度、体制、声のトーン全て息子のこだわりに支配されていました。
しかし私以上に支配されていたのが息子の父である夫です。夫に対してはとにかく拒否でした。目が合うだけで泣き叫び、身体に触れられると「痛い!」と怒鳴ります。夫が同じ空間にいるだけで機嫌が悪く常にピリピリとした雰囲気。私と夫が話すだけで「しゃべんないで!父ちゃんはあっちいってて!」と怒鳴ります。そのまましゃべり続けると癇癪(かんしゃく)に繋がるので息子の言う事を聞き、家庭内は常に殺伐とした状況でした。
このような感じで息子は毎日のストレスから血が出るほど爪を噛み、髪の毛を抜き、手がつけられないほどの自傷行為を毎日繰り返していました。
来年度からは幼稚園に入園予定です。「こんなに不安が強くストレスに弱いのに、何のフォローもなくて大丈夫なんだろうか?外では問題なく出来る事も増えてきたけど、幼稚園では大丈夫か?」と心配になりました。他人から見たら何の問題もなく見える息子でしたが、本人の抱えている負の感情はとても大きなものに見えたのです。
息子自身が違和感を覚え始めた
ある日の公園での出来事です。息子が遊んでいた滑り台に1人の男の子が遊びに来ました。他の子供が怖くて逃げたい息子ですが、階段の下には男の子がいるため降りる事ができません。固まってしまって動けない息子をフォローするために「ちょっと待っててね」と私が男の子に声をかけると息子は「しゃべっちゃダメ!!」と癇癪(かんしゃく)を起こし、公園中に響き渡るほどの大きな声で怒鳴りました。
私は男の子とその親御さんに謝り、すぐに息子を抱えて帰宅し、「怒鳴らないって言ってるよ?どうして怒鳴るの!?」ときつく叱ってしまいました。ただ泣きじゃくる息子を前に、それ以上何と言っていいか分からず、「もうしないでね?」と話し、その場は終わりました。
その日の夜、息子がお布団に入ると言ったのです。「お母さんあのね、〇〇(自分の名前)は他の人とは仲良く出来ないの。だからごめんね?」と。私はそれを聞いて涙が出ました。「あぁ、怒鳴ってしまうのは息子がわざとやっているためではないんだ。どうしても怒鳴る事を止められないんだ。仲良くしたいのにその方法が分からないんだ。それなのに私は怒るばかりでこの子を何も理解していなかった。」と猛反省をしました。発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害は人とコミュケーションを取ることが苦手です。その性質を息子の方はよく理解していたのです。
息子は気付いていたのです。他の子供と自分との違いに。他の子供がすんなりクリア出来る事が自分にはどうしても難しい課題であることに。まだ3歳になったばかりなのに、そんな自分ではどうしようもない問題を抱えて悩んでいる息子の力になりたいと思いました。
この子には診断が必要
息子は一見すると発達障害だとは分かりません。しかし通常の子供では抱えきれないほどの大きな不安と敏感さを持っています。そしてその感情をコントロールする事が出来ず、日々強いストレスを感じて生きています。ですが一見して分からないために、周囲に理解されず辛い想いをしています。「息子君なら出来るでしょ?」と無理な事を自然と求められていたのです。そして私もそれを求めていた1人です。
息子には息子なりの成長の仕方、息子なりの生き方が必要です。自分自身が息子を理解するため、そして息子が息子自身と向き合うことのできる子供に育てるために診断は絶対に必要だったのです。診断を取るのに何の迷いもありませんでした。発達障害がある事は不幸ではありません。発達障害を受け入れずに、目をそむけて生きていくことこそ辛いことだと私は思います。
息子の本当の気持ちに寄り添い、共に生きていきたい、そう思い診断をしてくれるクリニックに予約を入れました。その結果は冒頭に書いたように自閉症スペクトラム障害です。この障害はコミュケーションが苦手で、人間関係を作るのが苦手です。こういう子には療育が必要なのです。今は区立の母子通園型の療育施設に通って、コミュニケーションなどを学んでいます。少しずつですがコミュニケーションの能力が上達し、その結果人間関係のストレスが少なくなり、癇癪(かんしゃく)や自傷行為の回数は減ってきています。大きな進歩です。
[参考記事]
「自閉症スペクトラムの特徴とは」
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