この記事は放課後等児童デイサービスの職員の方に書いていただきました。万引きなどの良くない行動がきっかけで放課後等児童デイサービスデイサービスの利用を決めるケースも結構あります。
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ADHD(発達障害)があるA君が放課後等児童デイサービスの利用申し込みに来られたのは、小学校4年生の時でした。以前、障害のない子供たちと一緒の学童に通ったこともあったのですが、トラブルがあったり、障害児の対応に納得がいかず止めていました。
それからは、A君は家で一人で留守番をしていました。しかし、一人で留守番をさせていたときに問題が起こったので(万引き)、お母さんの友人にすすめられて放課後等児童デイサービスの利用の申し込みに来たのです。その時には学童でよっぼど嫌なことがあったのか、「どうせ、受け入れてくれないんでしょ!」と挑戦的でした。
放課後等児童デイサービスを利用しようと思われたきっかけ
放課後等児童デイサービスを利用させようと思われたきっかけは、A君のコンビニでの万引きと過食でした。両親は共働きなので家に帰るのはいつも夕方の6時から7時ぐらいです。A君は学校が終わると誰もいない家に帰ります。帰る途中にコンビニがあるのですが、そこで万引きをしてしまいました。コンビニがA君の両親と知り合いだったこともあり、厳重注意で家に帰されました。また、A君は家に帰ったらパソコンで動画を見ているか、寂しさを紛らわせるために過食傾向にありました。
これ以上問題行動を起こさせないために、両親が仕事から帰ってくるまでの間、少しでも一人で過ごす時間が少なくなるようにとの事で放課後等児童デイサービスの利用を考えるようになりました。体験に来られた時に、A君が他の児童と楽しく過ごされているのをみて利用を決めました。
放課後等児童デイサービス利用開始
学校でもそうですが、A君は「この人は怖いから言うことをきく」「この人は優しいから言うことを聞かない」というのを決めて接する子でした。この人は強く注意しないと分かると、注意されたときに奇声を出したり、がんとして動かなかったりと周りをてこずらせる行動を取りました。周りがそれに根負けするので自分の意思を通すことができていました。利用をスタートするとA君のそういう態度が目立ってきました。
このまままではいけないと、お母さんと児童発達支援管理責任者(放課後等児童デイサービスの職員)との間で話し合いが持たれました。A君にとっては、お母さんはとても怖い存在です。子ども同士のけんかはともかく、スタッフに対して暴言を吐いたりした時にはお母さんに連絡し、A君の好きなパソコンの使用を禁止することにしました。このことを本人にも伝え、あまりにも態度が良くない時はお母さんに伝えると話しました。
放課後等デイサービスに怖い大人をつくる!
放課後等児童デイサービスのスタッフにもお母さんと児童発達支援管理責任者との取り決めについて話をしました。あまりにも、A君がスタッフの言うことを聞かなかった時には児童発達支援管理責任者に連絡するように言いました。A君にも以上の話をしています。
それからは、なにかトラブルを起こしても、今まで奇声をあげて全く話を聞こうとしなかったスタッフ相手でも、「じゃあ児童発達責任者の〇〇さんに今日は、A君はスタッフの話をまったく聞かなかった。と言っておこうね!」というと、彼の中でパソコンの使用を禁止にされてはたまらないという気持ちが働きます。自分のしてしまった失敗に対しては「ちょっとイライラしていました」などの言い訳を考えたり、「これから注意します」というような発言が引き出せるようになりました。
脅しではなく本物の信頼関係をつくれるように!
放課後等児童デイサービスのスタッフは経験の浅いスタッフから子育てにひと段落したスタッフまでいたのですが、決してこのお母さんと児童発達支援管理者との取り決めを安易に使わないように話しました。それは子どもがスタッフの言うことは聞かなても大丈夫と思う背景には、そのスタッフの未熟さがあるからです。好かれようと思って必要な注意をきちんと行えていないのも原因の一つです。ですので、許すところと許さないところをしっかり決めて対応するように話しました。
また、児童発達支援管理責任者のところにお母さんへの報告依頼がきた時にも、すぐに報告するのではなく「今日は、知らせないでおくから次は注意してよ。」というふうに本人に猶予を与えるようにしました。
注意することばかりに重点を置いていたわけではなく、よくできた時には「ほめる」「認める」ということも行ない、全員が集まる終わりの会などでA君が今日頑張ったことなど小さなことでも褒めるようにしました。
おさまった過食と、デイサービス楽しいよの本人の言葉!
放課後等児童デイサービスに通うようになって、目立って改善したのは過食でした。お母さんからは、放課後等児童デイサービスに通う前に過食の状況を聞いていたのですが、土曜日の利用時の昼食にガツガツ食べる様子も見られず、与えられた量をゆっくり食べています。「本当に過食なの?」と感じるぐらいでした。家でも食欲に関しては問題がなくなりました。家に帰って一人ですることがなくてストレスが過食に表れていたのかもしれません。A君はもダイエットと筋力アップを目標に、放課後等児童デイサービスでも筋トレを頑張るようになりました。
また、放課後等児童デイサービスに通ってからは積極性も出てきました。放課後等児童デイサービスでしたいことの案を募集したところ、「バーベキュー」や「海水浴」「クッキング」なども積極的に案を出してくれます。放課後等児童デイサービスに通い、他の友達と接する喜びを感じている様子です。「デイサービスは楽しい」と言ってくれるようになりました。
お母さんとの信頼関係
A君のお母さんは、息子の発達障害が認められず、ずいぶんとA君を育てている間に葛藤があったそうです。自分の子どもの発達障害を認めてからずいぶん、発達障害についても勉強されました。ようやく、わが子をありのまま受け入れ、理不尽な態度には毅然とした対応で接することができるようになりました。
放課後等児童デイサービスはこのようなお母さんを支え、相談にのれる窓口にならなくてはいけないと感じます。発達障害の子どもを育てるお母さんは日頃、人の心無い言葉に傷ついたり、戦うことの連続です。このような人が相談していける場、子どもを認めて受け入れてもらえる場の提供が必要不可欠だと思います。
[参考記事]
「障害児放課後デイサービスの日常を職員が解説」
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