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仕事に適応できなくて双極性障害に。入院した病院で発達障害と判明

この記事は20代の女性に書いていただきました。

…………..

 自分が発達障害だと分かったのは、社会人になってからでした。私は医療技術職の資格を持っており、2か所の病院で勤務経験があります。どちらの病院も最初は調子良く働いていたのですが、1年半ほど経つと人間関係の問題を抱えてしまい、ストレスから退職することになりました。

 2か所目の病院に至っては、鬱症状が辛くて受診した心療内科のクリニックで、1ヶ月の休職に加えて大学病院に入院するように言われました。

 抗うつ薬を飲み始めてからしばらく経つと、イライラして両親や他人と対立したり、50万円も散財したりと激しい躁状態になりました。その後、転院先の大学病院で双極性障害と診断され、投薬による治療を受けました。入院中行った診察や診断テストにより、アスペルガー症候群(AS)だということが分かりました。直接仕事を辞めるきっかけになった双極性障害は、アスペルガー症候群によるストレスが原因の二次障害とのことでした。

双極性障害は、躁(そう)状態(躁病エピソード)と鬱(うつ)状態(大うつ病エピソード)の病相(エピソード)を繰り返す精神疾患である

ウイキペディアより引用

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コミュニケーションが取れず、職場で孤立していった

 私が職場で一番困難に感じていたのは、同僚や上司とのコミュニケーションです。アスペルガー症候群の特徴に、好きなことばかりをマシンガンのように話してしまったり、逆に黙りこくってしまったりといったコミュニケーションの困難があります。

 私の場合は自分の内にこもってしまい、うまく報告・連絡・相談ができずにだんだん上司の心証を悪くしてしまいました。それだけでなく、仕事中の世間話や懇親会でのコミュニケーションも嫌で嫌でしょうがなかったです。そのようなコミュニケーションの問題があり、仕事で困っていても相談する人がおらず孤立していきました。

他にも数々のつまづきが。私の脳はみんなと違う?

 もう一つアスペルガーの特徴が、極端に一つのことにこだわってしまうことです。私の場合はメモに書いた通りに業務を遂行することにこだわってしまい、臨機応変な対応ができませんでした。

 患者さんの具合が急に悪くなったり、機械が故障したりとメモに書いてない事態が起こると頭がフリーズしてしまうのです。医療職は対人援助職であるが故に思い通りにならないことが多く、毎日パニックになりながら仕事をしていたのでヘトヘトになりました。

 また、メモに書く必要のないような一時的な仕事内容や簡単な手順もメモをとることに執着してしまい、上司をイライラさせてしまうことがありました。なぜメモに執着するかというと、昔から物覚えが悪く、特に折り紙の折り方や学校に行く道順といった図形・空間把握のような文章化できないことを覚えるのが極端にだったからです。このような能力の偏りもアスペルガー症候群によく見られます。

 その他にもマルチタスクができない、頼まれたことをすぐ忘れる、患者さんに心ない言葉を言ってしまうなど数々の困難がありました。同僚たちはそつなく仕事をこなしているのに、なぜ自分だけが…と自己嫌悪に陥り、オドオドした態度でいるためさらに叱責されてしまうという悪循環に陥ってしまいました。

思い切って仕事を辞めた。そこで見えた新しい生き方

 アスペルガー症候群の特徴によって、自分も苦しく他人にも迷惑をかけて仕事をするうちに、一度仕事を辞めて療養に専念することにしました。実家で本を読んだり料理をしたりするうちに、アスペルガー症候群のいいところに目がいくようになりました。

 例えば、アスペルガーの人は過集中しやすいので本の世界に浸れたり、内容をよく覚えられたりします。またアスペルガーの特徴を活かせるのが料理で、こだわりが強いので調味料の分量を正確に測ったりレシピの手順を守ったりでき、プロの味を忠実に再現することができます。

 分量が厳格なお菓子作りもアスペルガーに向いていると思います。私も糖質制限のお菓子を作って両親に喜ばれたことから、ささやかな自信を取り戻して二次障害の双極性障害も和らいできました。

向いている仕事を探そう

 アスペルガー症候群の人が仕事において大きな困難を伴うことは事実です。それでも自分に合った仕事を選ぶことでストレスを緩和することができます。できればアスペルガーの特徴である「こだわり」が長所となるような、職人や技術職が望ましいと思います。逆に臨機応変さやコミュニケーション能力が求められる接客業は向いていないと言えます。

 とは言っても、ほとんどの人は慣れている今の職場で頑張りたいとお考えでしょう。その場合は「上司への相談」を重視すると良いです。私も最終的に辞めることにはなりましたが、上司に相談することで配置転換や定期的な面談をしてもらえました。

 上司は発達障害の社員に、怒っているのではなく戸惑っているのだと思います。自らの特徴を上司に開示して、苦手なことは素直に助けてもらい、得意なことで恩返しすれば良いのです。

 発達障害のことで一人で悩むよりも、地域の発達障害支援センターや民間のカウンセラーなど専門家を頼るのも一つの方法です。自分の殻に閉じこもらず、周りの人と繋がることで発達障害と共存して生きていけるようになります。

[参考記事]
「発達障害の私が仕事をできているのは得意分野を見つけたから」

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