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30歳を過ぎてから分かった発達障害。得意なことを伸ばす重要性

 この記事は30代の男性に書いていただきました。

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 私は30歳を過ぎてから自分が発達障害を持っていると診断されました。この30年間、ずっと自分は健常者だと信じており、まさか障害を持っているなど疑ったことはありませんでした。

 今回は私が健常者の世界から発達障害者の世界に否応なく移ったことで起こった価値観の変化についてお話しようと思います。

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健常者のために出来ている社会

 発達障害者として生活していくなかで、世の中はいかに健常者、いわゆる定型発達者のためにできているか痛いほど実感しました。

 仕事においても何でもそつなく出来る人間が求められ、一つでも能力的に欠けていると会社にとって不要な人間とされてしまいます。

 事実、私は発達障害特性ゆえにコミュニケーション能力に難があり、そのことが起因して会社を退職せざるをえなくなりました。

 よく世の中は右利きの人のためにできており、改札も右にあるし、パソコンのマウスも大抵右利き用のものしか売っておらず、左利きの人はとても苦労しているという話を聞いたことがありましたが、それは障害者にも当てはまるということを痛感しました。

 現在では身体障害者のためのバリアフリーはずいぶん普及してきたように感じますが、発達障害という比較的新しい障害に対しては全くといっていいほどなく、発達障害者にとってこの社会がいかに暮らしづらいか身を持って実感しています。

 今、10人に1人は発達障害を持っていると聞きます。今後社会は発達障害を正しく認知し、発達障害者のことも考慮した社会になるべきであると強く感じます。

努力だけでは克服出来ない

 今までは不得意なことでも努力し克服することが一番大事だと考えていました。しかし、発達障害のマイナス面を努力のみでは超えることが出来ないことに気付きました。ですが、このまま放っておくことも最善ではありません。

 この壁を乗り越えるには、自分の能力をカバーする方法を考えなければなりません。例えば私は短期記憶が弱いのですが、メモは、走り書きやキーワードの羅列ではなく、詳細までしっかり書き取るようにしています。

 また、予定を忘れてしまうことがあるため、スマートフォンのカレンダーに逐一予定を書き、予定日時が近くなったらアラームで知らせてくれるように設定しています。

 これらを行うようになってから以前と比べてミスは減るようになりました。

不得意なことより得意なことを伸ばす

 ある時、「発達障害者は得意な分野を伸ばそう」という記事を目にしたのですが、今までマイナス面だけに目がいってしまっていた自分に気づきました。

 私は物を作ることが得意です。例えば、文章を書くことは得意であり、とても好きなことの一つです。

 こういった得意なこと、好きなことに関する能力を伸ばして社会に貢献することがとても重要だと感じるようになりました。

発達障害は悪いことだけではない

 発達障害の障害特性の一つに「過集中」というものがあります。平たく言えば、周りのものが見えなくなるくらい、一つのことに対して過度に集中するというものです。

 普段、この障害特性は厄介なものですが、使いようによってはとても優秀な特性となります。

 私は現在プログラマとして働いています。この仕事はコミュニケーションを多く必要とせず、複数の作業を同時に進める必要があまりないため、比較的一つのことに没頭することが出来ます。

 そのため、過集中を発揮すると作業効率が良くなり、手早く仕事を完了することが可能になります。

 発達障害だと診断される前は「障害」というとすべてが悪いことのように聞こえていましたが、この過集中のように健常者にはない能力もあります。

歩みを止めるわけにはいかない

 発達障害者の世界には困難なことがたくさんあります。しかし、それに負けて歩みを止めてしまっては無駄に時間だけが過ぎていってしまいます。持てる知恵を振り絞って困難を乗り越え、あるいは回避し、歩き続ける必要があります。

 障害に悲観ばかりせず、希望を持って日々を生き抜く。これが我々発達障害者にとって最善の生き方であると考えます。

[参考記事]
「発達障害の混合型と診断されたのは30代。上司から退職勧奨が」

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