発達障害の子の中には、知的障害を伴う人もいます。特に自閉症と知的障害を重複して持つケースは少なくありません。この場合は言葉の遅れが見られ、身辺自立もできないため日常的に誰かの支援を必要とします。
でもはた目には、目の前の子の特性が知的障害からくるものなのか、発達障害からなのか、はたまた両方なのか、分かりにくいですよね。ここでは知的障害に関する解説をメインに発達障害との違いや知的障害児の支援制度について解説します。
知的障害とは
知的障害は医学的には「精神遅滞」といいます。
①同年齢の子供に比べ知的機能の発達が明らかに遅れていること(IG70以下)
②適応機能に明らかに制限があること
③18歳未満に生じたもの、
これらが揃うと、知的障害と診断されます。
よく、知的障害はIQで決まるものと思われがちですが、IQだけでなく、「適応能力」という日常生活能力や社会生活能力を含めて総合的に診断します。知的障害は、障害の程度により「軽度」「中度」「重度」「最重度」に分けられます。
知的障害と発達障害との違い
軽度の知的障害の子と、発達障害の子とをみると、はた目にはどこが違うのかが分かりにくいです。また、パニックなどは自閉症スペクトラムでも知的障害でもよくある特性です。その特性がどちらからきているのか分かりにくいことも。
決め手は診断方法です。知的障害は前述した「知能(IQ)」と「適応能力」で問題がある場合に「知的障害」と判断します。
発達障害の場合は以下の記事に書いたように「不注意性」「多動性」「衝動性」「こだわり」「話す、聞くなどのコミュニケーション能力が低い」などの特徴で、ADHDや自閉症スペクトラムと判断します。
「発達障害の種類①自閉症スペクトラムの特徴とは」
「発達障害の種類②ADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)の特徴について」
また、発達障害のうちのひとつ「LD(学習障害)」と「知的障害」もよく混同されます。LD(学習障害)はある特定の能力が著しく苦手で、そのために学習に支障をきたすものであり、知的障害を伴いません。LDの子のIQは知的障害の子と違って70以上はあります。
発達障害に関しては精通した医師が少ないため、近所のメンタルクリニックに行っても正確な診断を受けられる可能性は低いです。薬を処方したいがために発達障害と診断をされる場合もありますので、慎重に病院を選んでください。
知的障害の人が受けられる支援
もしお子さんが発達障害の他に知的障害も併せ持っていたなら、とても辛い事かと思いますが、お子さんの今後のことを考えて、利用できる支援制度はなるべく利用することをご検討ください(参考記事「発達障害になると障害者手帳(障害者認定)はもらえるの?」)。特に療育手帳の取得は、手帳の有無によってその子に合ったサービスが受けられるかどうかを左右します。
また、年金の対象になるとは限りませんが、成人してからは障害年金や特別障害者手当などを受けられることもあります。これらの支援制度は今後、お子さんが少しでも自立した生活を送っていく助けとなりますので、ぜひ利用してください。
もし、お子さんの普段の様子を見ていて「知的障害かも?」と感じられた場合は、発達障害を疑った時と同様、早めの専門機関への相談をおすすめします。発達障害と同様、早めに気づいてあげることでお子さん自身が過ごしやすい環境を整えることも可能です。それにより適切なコミュニケーションが図れ、毎日が穏やかに過ごすことができれば何よりです。
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