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発達障害の子供の育児が嫌になったお母さんへの支援

 

この記事は児童デイサービスで職員の方に書いていただきました。

………….

 私は児童デイサービスで職員をしています。今回は発達障害のADHDと診断されたK君とK君のお母さんの話をします。どのように発達障害児やお母さんを支援したのかを書いていきます。

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ADHDがわかるまで

 K君は、お母さんと障害者の姉(高校生)の3人暮らしです。お母さんは、仕事をしながら、障害のあるKくんのお姉さんとK君を一生懸命育ててこられました。K君はあまり手のかからない子で、ニコニコと愛想も良く保育園でも幼稚園でも特に発達障害が指摘されることはありませんでした。

 しかし、小学校に入学してからの面談でK君が字を読めないという指摘がありました。字を見て書くことはできるのですが、字を読んだり、「あ」を書いてなどの指示に対して書くことができません。そして、ADHDの子供特有の落ち着きのなさがあったのですが、暴力や暴言をふるう子ではないので、「不思議ちゃん」的にまわりに思われていました。

 専門医の受診をすすめられ、検査をしたところ「ADHD」と診断がおりました。詳しい診断の経緯は分からないのですが、恐らく発達障害のLD(学習障害)も持ち合わせていると感じます。ADHDの特徴である集中力のなさが理解を遅らせる原因かもしれませんので、なんとも言えませんが。

お母さんのショックとあせり

 K君が小学校に入学し「ADHD」の診断を受けたことにお母さんは非常なショックを受けました。ちょうど、障害のあるK君の姉が高校の寄宿舎にはいり、身の周りの事もある程度できるようになり、K君も小学校に上がったということでようやく育児に一息つけるほっとされている時期のできごとでした。特に何の問題もなく保育園や幼稚園に通っていたK君なので余計にガクッとされてしまいました。

 すぐに物を失くしてしまう。時間割も自分でできない。宿題もだらだらしてやろうとしない、そんなK君にいら立ちが募ります。離れて過ごす時間がほしいとデイサービスの利用を決められました。

デイサービスでの取り組み

 K君がデイサービスに通うようになり、まずは、K君が自分でできることが増えていけば、育児に嫌気がさしているお母さんの気持ちも和らぐのではないかと考えました。

 字が読めないのでどの教科書が「こくご」なのか「さんすう」なのかわからないK君が自分で時間割ができるように、「時間割表」に教科書の表紙を撮った写真を文字の下に貼っていきました。目で見てわかる時間割です。同じように「ふでばこ」や「体育着」「鍵盤ハーモニカ」などの持ち物も写真をに撮ります。

 デイサービスに帰ってきたK君の「お知らせ」をみて明日持っていく持ち物の写真をジッパー付きの袋に入れて持ち帰らせるようにしました。K君にも、「明日に必要なものだよ」と言う事を伝えます。それ以来、K君は「1年生になったから自分の事は自分で頑張る」という意欲も湧いてきて、忘れ物がないと先生に褒められるのもうれしく、頑張って時間割をするようになりました。

お母さんの変化

 お母さんには、デイサービスで作った時間割をK君の机の前に貼っておいてくれるようにお願いしてありました。そして宿題はデイサービスでスタッフと一緒に終わらせるようにしていたので、デイサービスを利用してからは毎日宿題をしないK君にいらいらすることは減ってきました。K君もお母さんに怒られながらするよりも、スタッフや友達と一緒に宿題をするほうが積極的に取り組めます。

 家に帰ってからの時間割も写真を見ながら自分でできているので、お母さんも小学校に入ってから少しずつ自分のことができるようになっているK君の成長を感じる事が出来るようになりました。

 そして、お母さんにはデイサービスから「K君に伝えるための約束事や物の置き場所などを絵や写真で表現すると理解しやすいこと」を話しました。お母さんは今まで何度言っても言う事をきかないとイライラしていたことが、ほんの少しの工夫で本人に伝えられるようになったので、コミュニケーションも良好になってきました。例えば時計の写真を使い、時間の約束に使用しているそうです。一度は育児に嫌気がさされたお母さんでしたが、K君には、理解しやすい方法とそうではない方法があるということが分かり、ちゃんと伝われば実行に移すことができ、文字も計算も習得していけるのだということで、子供の将来を前向きに思えるようになりました。

 児童デイサービスの職員は、子供の発達障害などの障害に戸惑うお母さんたちに子供との接し方や伝わりやすい方法をアドバイスしていくことも支援の一つです。

[参考記事]
「万引きがきっかけで児童デイサービスの利用を始めた発達障害のA君」

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