この記事は30代の女性に書いていただきました。
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「感覚過敏」をご存知でしょうか?文字通り感覚が人よりも過敏なことです。服の肌触りが苦手、食べ物の触感が嫌、赤ちゃんの泣き声が苦手などです。発達障害の人はこの感覚過敏を持ち合わせていることが多いのです。
私の息子は感覚過敏によって何かを嫌がるのではなく、逆に、「特定の刺激」を求める性質があります。
実際どのような刺激を息子が好んでいるかを紹介します。
指しゃぶり
私の息子は現在6歳1か月です。3歳児検診のときに発達障害の疑いあり、との指摘がありましたが、診断までは至っておりません。しかし、医師によると自閉症スペクトラム障害の中のアスペルガー症候群の可能性が高いということでした。
息子は赤ちゃんの頃から指しゃぶりをしていて、5歳を過ぎても指しゃぶりが抜けませんでした。普通はこの頃から親は焦るかもしれませんが、私は特に焦っていませんでした。
というのも、私も指しゃぶりがなかなか抜けず、小学6年生まで指をしゃぶっていたからです。ですので、いずれ時期がくれば(遅くとも中学生に上がるころには)やめることができるだろう、と思って気楽に構えていました。
しかし、子供に発達障害の疑いがあると分かってからは、発達障害と指しゃぶりは何か関係があるのではないかと思うようになりました。
一般的に子供の頃は口回りの感覚が特に過敏なので、口に刺激を求めることが多いそうです。私の息子も指しゃぶりはもちろんなのですが、中指と薬指をしゃぶりながら人差し指で鼻をくすぐる行為をすることが多くなりました。
もしくは右の指をしゃぶりながら左手で服の裏起毛をむしり、それを鼻に詰め、そしてふんっと鼻息で飛ばしています。起毛の感触を好んでいるようです。鼻に詰まりはしないのかといった心配や、家じゅうのふわふわしたものはむしられてしまい、あらゆるものがぼろぼろになってしまうという悲しい現実があります。
息子は知らない人に会ったり、初めての場所に行くと不安になり、それを指しゃぶりや鼻にふわふわしたものを入れることによって紛らわせているように思えます。発達障害のためコミュニケーションが苦手だったり、予想が付かないことに対して不安を感じることが多いので、無理に止めさせるのも良くないと感じています。
教科書通りではない過敏さも
感覚過敏のお子さんでよく聞くのが、冬でもサンダルに裸足でないといけないとか、タグが付いた服は嫌い、といったことです。
しかし、私の息子は逆です。毎年長袖から半袖への切り替えのときは苦労します。最近は自分の気持ちを口にするようになったので理由を聞くと、「肌が見えていると恥ずかしい」と言っています。また、自分の肌同士(手が足に触れるなど)が触れるのがあまり得意でないらしく、できれば長袖や長ズボンで覆っていたい、というのもあるようです。
療育の教室にて室内遊具で遊ぶとき、基本は裸足にならなければいけません。しかし私の息子は靴下を脱ぐのをかなり嫌がります。ただし、滑り台を逆からのぼりたいけど靴下が滑ると気が付いたときは、あっという間に靴下を脱ぎます。嫌なことよりも遊びたい欲求が超えるのだろうと思います。
苦手な触り心地
好む触り心地があると同時に苦手な触り心地というのもあります。私の息子は砂場遊びや粘土遊びといったものが苦手でした。しかしスライムで遊んでみたり、幼稚園で粘土遊びに無理しない程度にチャレンジさせていくうちに、今では粘土遊びも砂場遊びも大好きです。遊んだ後に手についている粘土や砂は嫌いみたいですが、遊んでいるときは夢中で手をべたべたにさせて遊んでいます。
無理なく触れさせていくことで、これは嫌なものではない、と理解して慣れていくこともあるのです。過敏さも嫌がらない範囲で徐々に慣れさせていくことは重要です。
まとめ
皮膚感覚の特殊性は経験していない人には分からない部分でもあります。「たったこれだけのことが気になるの?」とか「なぜこんな感覚を気に入るの?」と思ってしまうことでしょう。それは親や周りの人にとってはお行儀の悪いことだったり、困ったことだったりします。
しかし、皮膚感覚をたくさん取り入れたかったり、遮断したいというときは、本人はなにか緊張状態だったり、不安に思っている最中ということがあります。その不安な状況を取り除いてあげたり、そうせずにいらない訳を理解してあげて気が済むまでさせてあげることが大事です。
[参考記事]
「発達障害の子供に多い感覚過敏とは」
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