この記事は30代の女性に書いていただきました。
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私の息子は発達障害(ADHD)と診断されています。それが分かってから半年ほど経ちました。今ではお互いにADHDを肯定的に捉えられるようになり、息子自身も自分の特性をだいぶ意識することができるようになっています。
彼の発達障害が判明した当時の私の気持ちや、息子に対する思いについて、あるがままに、息子へ手紙を出すつもりで書いていこうと思います。
会計待ちの椅子に二人で座っていた時
あなたがADHDだと分かった時、私は二つの感情に襲われたんだ。一つは、あなたに対する申し訳ない気持ちや、これまでの私の言動に対する激しい後悔。そしてもう一つは安堵。あの気持ちを忘れてしまう前に、手紙に残しておきたいと思う。いつかあなたに伝えられる日が来るといい。
診察室を出て待合の椅子に並んで座っていた時、あなたは普段よりも私にぴったりとくっついていたね。しきりに「オレは病気なの?」と心配していた。先生から受けた説明をもう一度ゆっくり繰り返しながら、私はこんなことを感じていたんだ。
ごめんなさい
私がこれまで安易に使用していた「しっかり」「ちゃんと」「いつもの」「前と同じ」。この言葉があなたをどれほど苦しめてきたのだろう。これらは私にとってなんとなく言った単なる言葉に過ぎなかったのに、ただ親子だというだけで全てが伝わると思い込んでいたよ。
「片付けて」では何も伝わらないことに気づきもしなかった。一向に取り掛からないあなたを見て、「いい加減にしなさい」というあいまいな表現をする私。こんなふうに私は何度あなたを傷つけてきたのだろう。
何が分からないのかを上手く伝えるすべを持たなかった幼きあなたは、その小さな胸にどれだけのものを抱え込んでしまったのだろう。あの日々の私は、どうしてあなたの気持ちに耳を傾けることができなかったのだろう。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。先生から発達障害を告げられた時、私はあなたに対して心底謝りたい衝動でいっぱいでした。沢山傷つけてしまってごめんなさい。あなたの苦しみに気づいてあげられなくてごめんなさい。一人ぼっちにしてしまってごめんなさい。
私の育て方が悪かったせいじゃなかった
あなたの障害に気づく前の私は、いつも不安を感じていました。義母や夫、保育園の先生、店員さん、みんなから「おまえのしつけがなってない」と責められている気がしたから。私の考えは確かに浅はかだったけれど、それでもあなたに対して一生懸命だったよ。厳しくしたり甘えさせたり、私なりに愛してるを伝えてきたつもりだった。でもなかなか結果には繋がらなくて、私は親としての自分を責められているみたいで苦しかったのだと思う。
だから、あなたが発達障害という脳の機能上の問題を抱えていると分かった時、とてもほっとしたんだ。「私はしつけていないダメな親だったわけじゃない。」こんな風に考えた。自分でも自己中心的でずるいなと思う。でもその時に初めて、見えない何かから逃れられた気がしたんだよ。
よかった
あなたは決して怠けたり、わがままだったり、意地悪だったりしたわけじゃなかった。ただ、うまく理解できていなかった、うまく行動に移せなかっただけだったんだよね。私はあなたが思いやりにあふれる優しい人だっていうことを知っていたよ。生き物や自分より小さな子、ぬいぐるみや服なんかをとてもとても大切にするあなた。ありがとうやごめんなさいを心から言うことのできるあなた。私はそんなあなたがとても美しく尊い存在だと思う。
だから、「できないこと」があなたの人格とは無関係なのだと知って、心の底からよかったと感じた。ステキな人に育ってくれてありがとう。
ありがとう
私がもう忘れてしまった沢山のことであなたを追い詰めたことがあったのだろう。幼きあなたは「自分がいけない」「自分はダメな子」。そんな風に自分を責めていた時もあったんだろうね。
それなのに「お母さん大好き」「お母さん、マッサージしてあげる」「お母さん、最後の1個は半分こしよう」。そんな風な言葉をくれてありがとう。
私のことを信じてくれてありがとう。私のことを見限らないでいてくれてありがとう。あなたが私の息子でいてくれることを心から誇りに思います。
秋晴れの空を見て
会計を終えて、手をつなぎながら病院から出た時、秋の空がとても青く高く澄んでいたのを覚えています。あなたはどうかな?
そんな風景を見て、私は「もう大丈夫」って感じた。原因は分かったんだもの。原因がわかれば有効な対策が立てられる。だからもう大丈夫。あなたはまだ小学校1年生。あなたが大人になるまでには、あなたが生きてきた倍以上の時間がある。ゆっくり少しずつ課題を解決する方法を身に付けていこうね。
あなたが私を諦めずに私と一緒にいてくれたんだもの。私もあなたを諦めたりしない。一緒に頑張っていこう。
なんだかあの時の空は、まるで私の心の中そのものだった。あなたにとってもそうであったらいいな。いつかあなたが大人になった時、あなたの目に映る世界が美しいものでありますように。
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