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自閉症の子を家で療育する大変さ。私は生理が止まりました

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この記事は30代の女性に書いていただきました。

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 息子が2歳半の時に、自閉症と診断されました。それまで一言も言葉を発しなかったことをいぶかしく思いつつ、周りの「男の子は発達が遅いから」「国際結婚で多言語が飛び交ってるから」(当時海外在住で、夫も外国籍)という声に惑わされ、現実を直視せずにいたのです。

 初めての子育て、海外で親戚はおらず、友人も少なく、両家にとって唯一の孫である子供を、元気に育てることだけしか考えていませんでした。日本にいれば、健診などで分かったのかもしれませんが、当時住んでいた国では小児科医は専門医と見なされ、紹介状がなければ会うこともできませんでした。結果、ぐるぐる回る、流し目で見るなど、自閉症特有の行動を察知するのが遅れてしまい、もっと早くに気づいていたら、と今でも悔やまれます。

自閉症と診断を受けて

 自閉症という言葉の意味すら知らなかった私は、何から始めたらいいのか、全く分かりませんでした。とりあえず、ネットや本を読み、その度に絶望的な気持ちになり、泣いても泣いても涙が止まらず、日々辛かったです。街で同じぐらいの子供が楽しそうに親と会話をしている姿に胸を痛め、言葉を話せず癇癪ばかりを繰り返す息子に、とても愛情を持って接することは出来ませんでした。

 療育に至るまでに、「正式な」診断書を得るのに莫大な費用と時間を浪費し、療育を受けるにも数ヶ月も待ちました。その間、ネットや本を参考に療育の真似事をしましたが、息子は無反応で、無理にさせると叫び、逃げ出し、未来に何の希望も持てず、事態が悪化するのをただ傍観していたような気がします。

療育を始めて

 私たちが勧められたのは、親が自ら行うABA(応用行動分析)療育でした。これは、問題行動を軌道修正していく、ステップバイステップの療育です。息子は欲しいものを取って欲しい時には、指を差したり、目を合わせて訴えるのではなく、私の手を引いて連れていきました。「クレーン現象」として特に自閉症に顕著な問題行動の一つですが、これは「取って」や「ちょうだい」といった、相手に意思を伝えようとするコミュニケーション能力が欠落して、他人の手を道具としかみなしていないで起きるものです。

 この行動を修正するには、連れていかれても、「開けて」と言わせてから冷蔵庫を開けたり、「点けて」と言わせてからテレビを点けたり、一つ一つ、コミュニケーションの言葉に意味を持たせていきました。完全に発語できなくても(「開けて」の「あ」だけでも)、少しでも言えたら大げさに褒めて、自信をつけさせていったのです。

「奇跡」を求めて

 療育で次第に目覚めていく息子の姿は、もちろん嬉しかったのですが、1日4時間、多い時には6時間もの一対一の療育は、息子にとっても私にとっても負担の大きいものでした。教材は一から全部作り、これまでの交友関係を全て絶って、ただひたすら療育の日々だったのです。自分が分からない質問には、物を投げたり、噛み付いたり、ひどい時は何時間も泣き喚いたり。

 私もストレスからか、パニック発作が起きるようになり、生理も止まるなど、身体に異変が起こるようになりました。ネットで、手当たり次第に「一発で治る」楽な道を探しました。ダイエット療法(グルテンフリー、カゼインフリー)、常にヘッドホンで特定の音楽を流す療法など。特定のビタミンなどを摂取させる薬物療法を参照したこともあります。結局、私が元からズボラなせいもありますが続きませんでした。薬物療法は、やはり怖くて出来ませんでした。

ABA療育を一歩一歩

 結局、今に至るまで息子に続けさせたのはABA療育だけです。6歳になった今、療育士の付き添いはありますが、普通の学校に通わせています。学校に通い始めた一年前は、まだ不安定な日も多く、いつ学校から呼び出されるかビクビクして過ごしていました。

 今でも、落ち着きがなかったり、そっぽを向いていたり、苛立って泣く日もありながら、「そんな日もあるよね」と思えるぐらい安定してきました。問題行動が起きたら、分析して、噛み砕いて、ステップバイステップで身につけさせる。それでも私も息子もロボットではないので、思い通りに身につくことは稀ですし、克服したと思った問題が復活したり、予定通りにはいきません。1歩進んで2歩後退して、いきなり3歩前進して。それでも、「奇跡」にすがり付かなくて良かった、と思います。

子供が自閉症と診断された方へ

 息子との関わりの中での苦しみ、絶望は嫌という程経験しました。家族の幸せを求めて子供を産んだのに、何度も離婚の危機に直面しました。診断される直前まで望んでいた、2人目を産むことも諦めました。とても、この経験をもう一度する気にはなれませんでしたし、経済的にも無理だったからです。真っ暗闇な日々もありましたが、今は心穏やかに日々を過ごしています。言葉を話すようになった息子を、4年前の私に見せてあげたいです。もう少し前向きに自閉症と向き合えたと思います。

 行動療法という療育の仕方が、息子に合っていたことは、確かに幸運でした。どんな療法を選んだとしても、「一発で治る」という方法は存在しないと確信しています。それは、「こうすれば必ずサッカー選手になる」という方法が存在しないのと同じことです。人の成長は、とても思い通りになるものではありません。それは自閉症を抱えていても抱えていなくても同じことです。「治そう」という考えを捨てて、自閉症の長所を活かしながら導いていくというのが、子供にも親にも負担のない前向きな方法だと思います。

[参考記事]
「自閉症の息子は行動療法(療育)で大きく成長をしました」

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