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自閉症の息子は読書が苦手。そのために行なった対策を紹介

 

この記事は自閉症の息子を育てている30代の女性に書いていただきました。

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 眼球運動が苦手な自閉症の子供は多くいます。私の息子は自閉症ですが、やはり眼球運動が苦手です。調節機能が弱いために物を見る際のピントが合わせづらく、目をよくこすったり、顔を斜めにして物を見るといった行動が見られるので、気になる行動があれば調べてみると良いと思います。息子の場合も顔を斜めにして物を見ていたので、それが気になり調べたら眼球運動の問題にたどり着きました。

 以前、療育施設で「自閉症児の体験」をした時に、底を切ったペットボトルの内側にラップを貼りつけ、底の方から飲み口をのぞくという事をしたことがあります。当然はっきり見えるのは飲み口の小さな丸の範囲だけで、その他はラップ越しに霞がかかっているような、うっすら見える程度です。自閉症の子供達というのはこういう物の見え方をしているんだなととても参考になりました。

 自閉症児が見えている物はピンポイントでその部分だけしかはっきりと見えていないので、「周りを見て行動してね」「そこに落ちてるもの拾ってね」など言っても、言われている物や探し物を見つける事自体がとても大変な作業になってしまうのです。息子も探し物を見つけるのがすごく苦手で、「目の前にあるでしょ」と言いたくなりますが、そこは我慢。以前はふざけているのかと腹を立てた事もありましたが、この体験で息子の辛さを感じることが出来ました。眼球運動の問題は物を見つけにくいだけではなく、様々なところで日常生活に影響を及ぼします。

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眼球運動が弱いと何ができなくなるのか

 眼球運動とは文字通り眼球の動きの事で、この運動が上手くいかない事で様々な生き辛さを抱えてしまいます。眼球運動が苦手な子は、動いている物を目で追うといった事が苦手なために、ボールの受け取りをしにくかったりと、球技全般に影響があります。

 また、目で字を追うことが苦手な子は、黒板をノートに書き写すのが苦手、読むこと(読書)が遅いなど勉強に大きく関係してきます。「文字」を「文」としてとらえ、すらすらと読むことがとても苦手です。1つの文字を読むことに集中しているので たどたどしい読み方になり、何文字かまとめて飛ばして読んだり、一行飛ばして読んでしまう事もあります。字を追うことだけに集中し、文章の内容を把握していない為に本人は飛ばして読んでいる事にも気付きません。こういう場合は読むべき部分だけがはっきり認識できるような工夫が必要になってきます。

息子に対して行った対策

 文章を読む時に文字や文章を飛ばしてしまう対策としては読んでいる部分に物差しの様な長いものを当てて置いたり、下敷きの一部分をくり抜いたような道具で読んでいない部分を見えないようにする方法があります。

 上の取り組みは対処療法的な側面がありますが、これと同時に私の息子の場合には眼球運動を根本的に改善させるためのトレーニングを取り入れました。眼球運動はトレーニングで改善させることが出来るので、我が家も家庭でいくつか行っています。

 紐を付けたぬいぐるみなどを目の前で、上下左右に動かしそれを顔を動かさずに目だけで追うようにします。物を目で追えるようになってきたら、動いているままキャッチ出できるように練習します。他には指でもペンでもいいのですが、それを見ながらぐるっと一周眼球を動かせるようにしていきます。一周なめらかに動かすのは難しいようで、始めのうちはカクカクとした不自然な動きでしたが何度も繰り返すうちに上手く動かせるようになってきました。

 以上の眼球運動は目に負荷をかけるため、あまり、やりすぎないように注意して行ってください。このトレーニングはビジョントレーニングといって眼球運動の詳しい分析やトレーニングを専門に行っている施設もあるので、これから更に眼球運動の問題が大きくなってきたら通ってみたいと思っています。

[参考記事]
「自閉症の息子は音楽療法の教室に通っています」

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